皆さんこんばんは!
最北端獣医師のノスケです!
僕は日本最北端の地で牛の獣医師をやっています。
2020年の3月に麻布大学を卒業し、北海道の最北端で牛の獣医師として働き始めてから早1年が経とうとしています。
社会人になってからというもの、月日が経つのがより一層早くなった気がします。
まあそんなことは置いておいて、よくある質問として
公務員獣医師とNOSAI獣医師はどう違うのか、というものがあります。
そのことについては以前記事を書いたのでそちらを参照していただきたいです。

そしてこの中でも、僕が主に紹介したのは、いわゆる地方公務員に当たる職業です。
でも公務員獣医師の職種には、地方公務員だけでなく、国家公務員も含まれます。
国家公務員のことも紹介したいんだけど、いかんせん知識も経験も全くない…!!!
という状況だったので、紹介できませんでした(笑)
なので僕は同級生で、実際に農水省で働いている友達にインタビューをしてきました。そして国家公務員としての獣医師のついて色々調査をしてきました。
今回は僕が実際に聞いた、国家公務員としての獣医師について色々と紹介出来たらと思います。
今回の記事の内容!
・獣医師がなれる国家公務員の種類
・どうやったらなれるの?(試験制度やその内容、倍率など)
・どんな仕事?職場は?仕事内容は?
・給料とか休みはどんな感じ?
こういった内容について語っていこうと思います。
ただでさえ情報が少ない獣医師の仕事。その中でも国家公務員としての獣医師は、なれる人数が少なく、情報も限られているので、あまり知られていません。
僕自身も全くと言っていいほど何も知りませんでした。だから現役国家公務員の友達に聞いて調べました!
とはいえ、これは1人の友達に聞いた内容なので、必ずしも国家公務員全てに当てはまることではないですし、主観的な部分もあるでしょう。
ですが、かなり参考になる部分も多いので、国家公務員としての獣医師がどんなものなのか、知っておきたい人にとっては有益な記事になると思います!
ではいきましょう!!
※また農水省の獣医さんに、1日の流れだったり、仕事内容、そして内部事情なんかについても突撃インタビューしてきた記事もあります!
それについても併せて読んでみにてくださいね!

Contents
国家公務員としての獣医師の職域!
実は、獣医学科の学生が国家公務員を目指す際には、大きく2つの道があるそうです。
その大きな違いとなるのが
”獣医師免許を必要とするかどうか”
ということです。
たしかにそう思う人もいるでしょう。でも別にこれは普通のことであって、獣医学科を卒業したからと言って、全員が獣医師免許を使って仕事をするわけではありません。
獣医師以外の道に進む人も少なからずいるわけです。
まあ要するに、獣医師として国家公務員の仕事をする人、獣医師という枠ではなく、国家公務員として働く人の2つのパターンがあるわけです。
ではそれぞれについて具体的に紹介していきます。
獣医師枠での国家公務員編
これには大きく2つの省があります。
1つが獣医師になじみの深い”農林水産省”です。
そしてもう一つが”厚生労働省”となります。
毎年の採用枠は、農林水産省が20人程度、厚生労働省が2~3人とのことです。
獣医師枠は思っている以上に少ないんですね。
そして具体的な仕事内容としては、主に空港などの検疫所において、海外から病原体が持ち込まれないか、危険なものが持ちこまれないか、などをチェックする仕事になります。
海外で流行している感染症で、日本では発生していない病原体が持ち込まれたら大変なことになります。その検疫対象は食品であったり、動物であったりです。
全国のいろんな空港でそれらが持ち込まれないように検疫を行います。
またその際、犬を使って検疫を行うので、その管理だったり、その犬が狂犬病を持っていないかなどの管理も同時に行います。
これは獣医師にしかできない仕事です。
こういった検疫の仕事に従事する人が8~9割ほどで、残りの人が研究機関に配属になり、様々な研究を行うそうです。
一般枠での国家公務員編
要するに一般的な国家公務員です。
特に学部学科のくくりはないので、他の学部の人と同じように受験することになります。
別に免許が必要なわけではないので、どこを受けたとしても良いのですが、獣医学科卒の人は主に”農林水産省”に所属し、農業科学という方面に進む人が多いそうです。
そこでは、農業科学というくらいですから、畜産関係だったり、その他農業、時には感染症関係の部署に配属なることもあります。
例えば畜産系でも、乳牛のこと、肉牛のこと、豚や鶏だったりと様々な分野があります。主な仕事内容としては、生産現場でより良い環境で働けるように、制度やお金面を改革していきます。
また感染症の分野では、鳥インフルエンザなどの疾病が流行した際の対処や、防疫なども行っています。
まあ要するに日本の農業を守るトップの仕事って感じですね!
カッコいい…(笑)
ではこういった国家公務員になるためには、どのような試験を乗り越えなければならないのでしょうか。
次の章で説明していきますね。
国家公務員になるための就職試験について!
獣医職の試験編!
1次試験
まずは一次試験ですが、ここでは国数理英社の5教科の試験と獣医師国家試験の基礎系のみからなる試験を受験します。
どちらも選択形式であり、5科目試験は合計で50~60問を1時間程度で、獣医専門科目は80問程度を解くことになります。
国数理英社の5科目のほうは、いわゆるセンター試験レベルの問題を解くそうです。
今となってはこっちのほうが解けないような気がします(笑)
獣医学専門科目のほうは、臨床科目がないので、基礎系の対策をすればいいのですが、その中でも感染症系の問題が多いそうです。
2次試験
そして、1次試験を突破すると、今度は獣医学の基礎科目の記述試験があります。
例えば生理学だったり、寄生虫学だったり、病理学だったり。
こういった科目を記述式で解くので、かなりしんどいですね(笑)
ここでは数問あるうちのいくつかを選択して解くことになります。
そしてもう一つ、グループディスカッションが試験として行われます。
僕は経験したことがないのですが、いわゆる一般的な就職活動で行われるようなものでしょう。
数人のグループで決められた時間内でテーマに沿って話し合い、その姿勢などを評価されます。
これが二次試験の内容です。
とはいえ、ここまでだったら割とほとんどの人が受かっていくそうです。
普通に勉強すれば落ちることはないと言っていました。
まあとはいえ、各大学のエリートたちの”普通”なので、僕みたいなポンコツが真に受けると余裕で落とされそうですが(笑)
そしてこの1次、2次試験を突破すると、晴れて3次試験に進むことが出来ます。
3次試験
3次試験では、面接を行います。ここで一気に落とされてしまうそうです。
しかも面接は1回きりではなく、何回も受けることになるので、この就職試験だけで数か月かかってしまうとのことでした。
おおよその倍率は5倍程度とのことです。
各大学の優秀ながくせいが集まっての5倍なので、かなり大変な試験であるということが言えるでしょう。
1次試験
国数理英社の5科目+獣医学の基礎科目 の選択式
2次試験
獣医学の基礎科目の記述式問題+グループディスカッション
3次試験
数回にわたる面接
・1次2次は比較的合格しやすいが、3次で一気に落とされる
・倍率は5倍程度
一般枠での国家公務員の試験編!
こちらも基本的な流れはあまり変わりませんが、その試験内容が少しずつ違ってくるようです。
例えば、1次試験の問題は、国数理英社の5科目を受験するという点では同じですが、もう一つの専門科目のほうは、獣医学に限らず、色んな科目から選びます。
その中でも獣医学科の学生は、栄養学や繁殖学、畜産○○学といった、獣医学が絡む科目を選ぶことが多いそうです。
その後、2次試験に駒を進めた人が、先ほどど似たように記述試験とグループディスカッションの試験を行います。
ここでの記述試験では、もちろん獣医学以外の科目も存在し、より広い範囲で勉強しなくてはなりません。
そして獣医師枠とは違い、この1次と2次試験で結構な人が落とされるそうです。
倍率で言うと、既に5~6倍はあるとのことです。また問題も難しいので、合格ラインが6割と言われているのですが、5割を取るのがやっとという人が多いようです。
そして、3次試験まで進むと、面接試験が行われます。
この面接試験も、獣医師枠と同様に、1回では終わらず何回も行われます。そして1日に12時間程度の拘束時間を取られるので、かなりの体力勝負となるようです。
そうやって過酷な試験を乗り越えた人が、晴れて国家公務員として働くことができます。
一般枠での国家公務員は、受験する人が獣医学科の学生だけでないので、必然的に応募人数も多くなり、倍率も高くなるようです。
1次試験
国数理英社の5科目+色んな分野から選択して受験する
(獣医学生は、畜産系や繁殖学などを選ぶ傾向)
2次試験
色んな科目の記述式問題+グループディスカッション
3次試験
数回にわたる面接
・1次2次でもがっつり落とされる。3次試験も同様。問題も難しい。
・倍率は1次2次試験で5倍程度。
仕事の環境は?休み、生活、転勤、給料など…
ここも気になるポイントですよね。
実際どんな環境で働いているのか。これもまた獣医師枠と、一般枠で分けて説明していきますね。
獣医枠での国家公務員編
さきほども説明したように、獣医職のメインとなる仕事内容は、全国の空港などにおける検疫です。
となると、勤務地は全国中にわたります。全国中を転勤します。また空港が開いている間は仕事をしなくてはなりませんから、
夜勤だったり、残業、休日出勤もあります。
田舎に配属になれば不便なこともあります。また転勤が多いですから、結婚していたり子供がいると不都合なこともあるでしょう。
生活面では大変なことも多いようです。
そして時には東京の本書に配属になったり、研究機関に配属になることもあるので、運要素もありそうですね。
いずれにせよ、転勤が多いのはしんどいかもしれません。
一般枠での国家公務員編
こちらは獣医師枠とは打って変わって、基本的に東京の本所勤務がメインです。
東京にずっと住むことができ、生活面で不便な思いをすることはないでしょう。
また公務員の勤務体系に準ずるので、土日祝日は休みです。予定が立てやすく、働きやすい環境であると言えます。
また国会がある時期は、忙しくなるようです。なんかカッコいい(笑)
とはいえ2~3年で部署が変わってしまうことがザラなので、今までやってきた仕事とガラッと変わって戸惑うことも多いらしいです。
例えば、畜産のなかでも、肉牛だったり酪農だったり、鶏だったりと、仕事内容は大きく違ってきます。
これは公務員あるあるのようですね。
また農水省から厚労省というように、所属する省が変わることもあるらしいです。
やはり、日本のトップとして、農業を支えていく仕事ですのでやりがいも多いそうです。カッコいいですもん!
その分プレッシャーも大きく、やはり選ばれたものが出来る仕事というような印象を受けました。
具体的な給料!(1年目の例)
そして聞きにくかったですが、給料のことも聞いてきました!(笑)
その友達は東京に勤務しており、国家公務員は地方より東京に勤務するほうが手当とかが高くなるようです。
その具体的な数字が以下のようになります。
ちなみにこれは支給額ではなく、手取りの話です。
残業代なしの基本給:23万円程度(東京勤務手当などで4万加算されている)
残業代(月40~50h):7万円程度
合計手取り 30万円前後/月
これが東京勤務での農林省獣医師の給料の一例です。思っていたより残業も多いですね(笑)
やはり国のトップとして働くので、それくらいにはなるのでしょう。
また東京勤務のほうが手当が多いのも意外でした。僕みたいなNOSAI獣医師は僻地に行くほど給料が高くなるので(笑)
ぶっちゃけ羨ましい…。
もう田舎はしんどい…
雪かきもしんどい…
寒い…(笑)
ちなみに僕のほうの仕事や給料について語った記事はこちらになります。

最後に
これはあくまで、農林省で働く一年目の友達に聞いた一例に過ぎないので、これが全てではないことは理解してもらいたいです。
試験のこと、仕事内容のこと、給料や残業、生活については、個人差があります。
とはいえ1つに参考にはなったのではないでしょうか。
やはり国家公務員として働くのは、とても責任が重いことであると改めて痛感しました。
1年目とはいえ、やる仕事は日本を背負っています。カッコいいですし、やりがいも大きいでしょう。
検疫だったり、農業を根底から支えるのは、やはり獣医師の中でも特に優秀な人でなければできない仕事です。
でもその分責任もとても重いです。。だからこそ倍率の高い、そして難易度も高い試験を潜り抜けなくてはなりません。
就職してからも日々勉強の毎日です。本当に尊敬しています。
才能と努力が備わっていなければできない仕事です。
後で聞いた話ですが、やはり国家公務員として働く獣医師は、東大や東京農工大出身の人が多いようです。
僕の同期の友達のように麻布大学卒の人は少ないそうです。そりゃ東大とか優秀な学生の宝庫ですもんね(笑)
とはいえ、私立獣医学科から入ってくる人も毎年しっかりいるので、先輩や教授から情報をしっかり収集して、対策をすれば大丈夫と言っていました。
とても狭き門で、大変な仕事ですが、僕は改めて国家公務員として働く獣医師に対して尊敬の念が生まれました。
この記事を読んで少しでも国家公務員として働く獣医師について知ってもらえたら幸いです。
獣医師という仕事はとても幅広い仕事です。
是非皆さんも獣医師という職業に興味を持っていただければと思います!
では!!