皆さんこんにちは!
最北端獣医師のノスケです!
僕は2020年に麻布大学の獣医学科を卒業し、現在は日本最北端の地で牛の獣医師をやっております。
そんな僕が大学を卒業し、獣医師として働きだしてから早1年が経とうとしています。
大学に入った時なんて、この先6年間も大学生活があるなんて夢のようだ!と。
一生大学生をやってるんじゃないかと。
そんな風に思っていたりもしましたが、何だかんだこうやって獣医師として働いています。
今回はそんな僕が、NOSAI獣医師として1年働いてみて感じた、”大変なこと&辛いこと”について語っていこうかなって思います。
僕自身は北海道で牛の獣医師として働いているので、その目線が主になってしまうのですが、都会で犬や猫の獣医さんとして働いている人とも似たような意見だと思っています。
なので今回の記事では、臨床獣医師、いわゆる”動物のお医者さん”として働いてみて大変だと感じたことを紹介します!
牛や馬の獣医さんをやってみたい!、犬や猫の獣医さんとして働きたい!って思っている人は特に参考になると思います!
今回の記事の内容!
・動物のお医者さんとして働いてみて大変なことについて!
・こういう人が獣医さんに向いてるなって思うこと
・獣医になる前にやっておくべきこと!
これらについて語っていこうと思います。
僕が実際に働いてみて、「ああ、この経験やスキルはとっても役に立ってくれてるなあ」
って思うことももちろんたくさんありますし、逆に
「ああ、こんなことやっておけば良かった…」っておもうこともあります。
自分にとって今となってはもう手遅れ?なことなんですけど、現在大学生の人たちや、獣医学科を目指す人達の参考になればなって思います。
ではいきましょう!!
Contents
獣医師として働いてみて大変なことBEST5!!
第5位 先日まで学生だったのに、急に「先生」と呼ばれること
これ、人によっては嬉しいことなんですかね?(笑)
もしかしたらモチベーションが上がって最高!!って人もいるかもしれません。
このために獣医を目指す!みたいな。
でも僕みたいな小心者にとっては、重い重いプレッシャーでしかないのです(笑)
まあ本当に入りたての時は、先輩にくっついて往診を回っているので、仕事相手となる農家さんも実習生に毛が生えた程度にしか思っていません。
でも、徐々に色んな経験をして、一人でも仕事を回るようになると、農家さんもある程度一人の先生として僕のことを見てきます。
前までは「佐藤君!」だったのが、急に「佐藤先生!」なんて呼ばれるようになります。
まあ変化としてはそれだけに過ぎないのですが、この瞬間急に恐ろしくなってくるときがあります。
ちょっと前までただの大学生でしかなかった僕が、牛にもそんなに触ったことのない僕が、牛の獣医師として頼りにされる。
嬉しい反面、とてもプレッシャーです。じわじわと襲ってきます。経験したことがない症例や治療をしなくてはならない時なんて、半分パニックですもん(笑)
まあそうやって皆成長していくんですけど、就職前と就職後の扱いのギャップの高低差で、足首を捻挫しそうです(笑)
中身は大して変わってないのに…
まあこれに関しては、犬猫の獣医さんにおいても一緒でしょう。まあ1人立ちの時期は遅いにしても、やはり飼い主さんからみれば立派な”先生”です。
その目に見えないプレッシャーてのは、じわじわと自分にのしかかってきます。そしてそれは現在進行形です(笑)
第4位 職場に同期が少ないから、ふとした時にしんどい
これは獣医師あるあるなんですけど、普通の会社と違って同期が少ないんですよね。
動物病院なら多くても同期は2~3人とかですし、1人なんてこともザラです。
僕の所属するNOSAIもそうです。
支所だったり組合では同期はたくさんいても、診療所にはいません。そして同期にすぐ会いに行けるわけでもありません。
そして年齢層が幅広いのと、若い人がどんどん転職していくのが現代の獣医師事情ですから、若い先輩も少ないです。
周りはベテランの先生がほとんどです。
これがね~結構しんどいんですよね(笑)
まあ普段は全然いいんですけど、やっぱり建前抜きで本音で話したいときってあるじゃないですか!
でもそんなときに話せる相手がほとんど近くにいない…
ふつうの職業の方なら、会社にたくさん同期がいて、仕事終わりに飲みに行ったり一緒に遊んだりして、語り合えるんでしょうが、それがあまりありません。
これが獣医師全般に言えることでもあります。
基本的に獣医師はレアな存在ですから、同期も少ないです。製薬会社とかなら、獣医以外の同期もいるんでしょうが、普通はそんなことはないです。
同期が少ないってのが、いざというときにしんどかったりします。
第3位 飼い主(農家さん)とのコミュニケーションが難しい
これはまあ獣医師に限ったことではないでしょうが、やっぱり仕事相手とのコミュニケーションは難しいですね。
例えば僕たち牛の獣医師が相手にするのは、農家さんがメインです。皆さん自分の農場を持ち経営する、いわゆる社長さんです。
社長になろうって人達ですから、実に色んな人がいます。穏やかで優しい人ももちろんたくさんいますが、エネルギーや野心にあふれ、ちょっと怖い人もいます(笑)
それは見た目や性格的なものでもあります。
そしてそういった人たちと毎日コミュニケーションをとりながら治療していくことになります。世間話や専門的な話…
とにかく色んなことにアンテナを張り、そして癖の強い人たちとコミュニケーションを取る。これが想像以上に大変です。
信用にも関わってくるので適当なことは言えません。
自分みたいな新米のペーペーは、自分の治療方針を説明する時、農家さんと意見が食い違った際は死にそうになります(笑)
顧客の満足を取るか、自分を信じるか…
自分の力に自信がない分、余計に悩むんです(笑)
ただでさえ大変なコミュニケーション、動物相手のほうが気楽だって思うことも多々あります(笑)
もちろん犬猫などの動物病院で働く人もそうでしょう。むしろこっちのほうが大変です。
自分の家族同然のペットですので、話に熱も入ります。
色んな知識を仕入れてくる人も多いでしょう。その真偽だったりの判断もしなきゃですし、自分の治療方針をしっかり伝えなくてはなりません。
獣医師は接客業って学生時代に言われましたが、その意味が今となって良くわかるような気がしています(笑)
第2位 生き物だから、自分が思うようにならない
僕たちが相手にしているのは、生き物です。
僕はこの世で一番思い通りにならないのが、生き物だと思います。
例えば、ある病気になった牛がいたとします。症状からこの病気だと推測を立てて治療します。教科書通りに。
でも、同じような治療をしたとしても、牛によってすぐ治ったり、逆にいつまでたっても良くならなかったり、と様々です。
これは生き物である以上当然です。人によって太りやすいとか痩せやすいとかあるように、牛にも色々います。
そして牛は喋りません。どこが悪いかも言ってくれません。そして牛のための治療だとしてもそれを理解してくれるわけでもありません。
だからおもいっきり暴れますし、蹴りますし、体当たりしてきます。思い通りにならないことだらけです。
まあ当然っちゃ当然なので、ある程度受け入れています。そんなに普段はそのことにしんどさを感じないのですが、
なかなか良くならならず農家さんや飼い主さんが不満そうだったり、めっちゃ暴れて怪我しそうになると、「なんでなんだよ!!」って思ってしまうときもあります(笑)
まだまだ未熟ですね(笑)
第1位 命を扱っているという責任が重すぎる
まあ結局はここに行き着きます。
自分が扱っているのは命なんだということ。
最初の頃なんて、
自分が注射したこの薬で悪くなったらどうしよう…とか
この薬で死んじゃったらどうしよう…とか
手術した牛が悪化したらどうしよう…
って考えがずっと付きまとっていました。
今では自分もある程度の経験を積んだので、そう思うことは減りましたが、やっぱりふとした時に考えてしまいます。
そして、自分の治療で良くならず死んでしまったときや、殺処分する時なんかは、本当にメンタルに来ます。
そのことに慣れるべきなのかもしれませんが、慣れちゃいけないような気もして。
その葛藤に悩んでいる日々でございます。
この重圧はきっとずっと付いて回るでしょうし、獣医師という道を選んだ以上は仕方ないことです。
だからこそ、人間のお医者さんは本当にすごいと尊敬しています。
獣医師に向いているなあと思う人
僕が1年働いてみて、獣医師に向いているなって思う人の特徴をいくつか紹介します。
まあこれはあくまで臨床獣医師としての話ですが。
①コミュニケーション能力が高い人
これはめちゃくちゃ思います。
治療相手は動物ですが、それを決める過程で絶対に飼い主さんとのコミュニケーションは必要です。
自分はどうしたいのか、飼い主さんはどうしてほしいのか、それらを含めて決めていきます。
また何気ない会話が信頼を生みます。
結局獣医師は接客業。
飼い主さんを安心させて、動物もしっかり治して、どちらも出来て立派な獣医師なんだなって改めて思います。
②ある程度割り切れる人
これは獣医師だけでなくて医者もそうなんだと思いますが、ある程度割り切れる人のほうが名医と言われているような気がします。
たとえば、自分の治療がうまくいかなかったとき、どうしてそうだったのか振り返ることはもちろん必要です。
そこから次に活かすことが不可欠です。
でもそれをいつまでも引きずって、くよくよしたり、次の治療でビビッてしまうのは良くないことです。
僕がそのタイプなんですが、うまくいかなかったときの記憶が軽いトラウマみたいになっちゃって、委縮してしまうんですよね。
でもそれじゃあ同じことを繰り返すことにもなりかねません。
自分はやるべきことをやった。そのうえで結果が出なかったのは仕方がないと、ある程度思える人のほうが、獣医向きなのかなって思うときもあります。
③手先が器用な人
もうほんと、これは毎日、毎秒思います!!(笑)
僕自身がめっちゃ不器用だからです(笑)
先輩にも同期にも驚かれるくらいには。
自分でもどうしてこんなに不器用なんだろうって落ちこみます。昔から指が太くてめっちゃ不器用だったので、ある程度予想はしていたのですが…
獣医師は基本的に、ジェネラリスト(体全体を診る仕事)です。人間の医者のように○○科と分かれているわけではありません。(大学は別ですが)
だからオペもやらなくてはなりません。僕みたいに不器用でも。
僕も1年経ってある程度慣れては来ましたが、最初のうちは針に糸を通すことさえできませんでした。
今でもできないことはたくさんあります。
だからこそ、手先は器用に越したことはないです(´;ω;`)
学生のうちにこれだけはやっておこう!!
こんな感じで大変なことに満ち溢れている獣医師という仕事です。
学生のうちにやっておいてほしいことはたくさんありますが、1つ挙げるとするのなら、僕は迷わず
”アルバイト”を挙げます。
獣医師という仕事は、思っている何倍も仕事量が多く、そして多岐にわたります。求められるスキルも、相手する人の癖の強さも、大学時代の比じゃありません。
1つできるようになると、その先に2つも3つも出来ないことが出てきます。
正直へこたれそうになることも多いですし、飼い主さんに怒られることもしばしばです。
意志疎通が不十分だったためにトラブルになることもあります。
また同僚でも癖の強い人、嫌な人もいます。獣医師なんて変人がほとんどですから、苦労することも多いですよ(笑)
そんなときに自分が一番役に立ったのは、大学時代のアルバイト経験です。
例えば、塾のバイトで培ったコミュニケーション能力や、分かりやすく説明する能力、そして自分一人で対応する根性はとても役に立っています。
派遣で夜勤をやったり、ハードな現場で働いた経験は、今の夜勤だったり当番を乗り切るのに役立っています。
また保育園でのバイト経験は、言葉の通じない動物を相手した際に役立っています(笑)
園児たちもあまり言葉が通じなかったので(笑)
パチンコ屋でのバイトでは、理不尽なことがあっても動じず対応するスキルが身に付きました。
着ぐるみのバイトや教材の営業では、自分をアピールすることへの恐怖心がなくなりました(笑)
当時はそんなこと感じなかったですし、ただのお金稼ぎくらいとしか思っていませんでした。
でもこうやって働いてみると、その経験一つ一つが今の自分を支えてくれてます。
だから失敗してもいい大学生のうちに色んな経験をしておいてほしいのです。
大学の同級生で、仕事が辛くて辞めてしまった人もすでにたくさんいます。病んでしまう人もいます。
でもそういう人って、大学時代の社会経験が乏しかったように思うんです。つまり別にお金には困ってないからって、あまりバイトをしなかった人達です。
僕はバイトは、お金を稼ぐこと以上に大きなものを得られると思っています。
それが今は分からなくても、あとになってその価値に気付くことが出来ます。
社会に出たら、自分で何とかしていかなくてはなりません。だからこそ、大学生のうちに色んなバイトをして、色んな人に出会って、そして色んな力を付けておいてほしいのです。
だから、1つのことだけじゃなくて、色んなバイトを経験してみてください!!
いつか役に立つはずです!
ちなみに獣医学生にお勧めの倍とはこちらの記事で紹介しています!

では!!