皆さんこんにちは!
最北端獣医師のノスケと申します。
僕は、牛の獣医師2年目として働きながら、獣医師を目指す人たち、現在獣医学科の学生、現在獣医師として働く人たちに向けて様々なことを発信しています。
僕自身も大変な日々を送っているのですが、少しでも役立てるように頑張っています。
さてさて、今回紹介するのは、
”獣医学科合格におけるボーダーライン”についてです。
僕が受験生の時もそうだったのですが、獣医学科ってどのくらい点数が必要なのか、偏差値はどのくらいなのか、など明確には分からないことが多いですよね?
だから手探りで受験勉強するしかないし、実際に受験してみないと分からないことも多い…
そして実際に受験する人も少ないから、欲しい情報が思うように手に入らない…
だから今回は、実際に私立獣医学科をすべて受験、かつ国公立の獣医学科も受験し、合格や不合格を多数経験してきた僕から、獣医学科の明確なボーダーラインについて解説します!!
自分が一体どのくらいの点数が必要で、そしてどのくらいの距離があるのかをしっかり把握してもらえたらと思います!!
では行きましょう!
獣医学科のボーダーラインについて!!
国公立大学編!
ハイレベル国公立編
国公立大学の獣医学科とひとくちに言っても、僕は大きく分けて2つのレベルがあると思っています。
まあ国公立の獣医学科を目指している人ならば知っていることかもしれませんが、
北海道大学、東京大学、東京農工大学の3大学は、共通テストのボーダーラインが頭ひとつ抜けて高いのです。
そして二次試験の比率も難易度も高く、仮に共通テストで高得点を取ったとしても、二次試験で逆転される可能性が高いです。
詳しくは以下の記事を参照してもらいたいのですが、
共通テスト:二次試験
北海道大学…300点:450点(共通テスト比率 40%)
東京農工大学…900点:700点(共通テスト比率 56%)
東京大学…110点:440点(共通テスト比率 20%)
というような内訳になっています。
他の大学はもっと共通テストの割合が高いのですが、この3大学に関しては共通テストで良い点は当たり前、二次試験が本番くらいのイメージですね。

この3大学に関しては、最低でも共通テストで85%は取らないと話にならないです。
しかしそれは最低ラインであり、90%近くは得点したいところです。
85%くらいでは、むしろビハインド状態であると言わざるを得ません。
年度によって多少の前後はあれど、やはり8割後半がどうしても必須条件となるでしょう。
ということで、この3大学の共通テストにおけるボーダーラインは87~88%ということになると思います。
二次試験におけるボーダーラインは、
高校3年生・浪人生が受験する全統記述模試において、数英理の3科目の偏差値で、70~75は確実に欲しいところです。
特に数学は、他の大学と違いⅢCまで必要になるため、余計に大変です。
一気に難易度が上がるため、より早い段階での準備が必要となります。
生物や英語は割と達成することが出来る人が多いのですが、数学においては達成できる人が激減します。
そしてここが合否を分けるポイントでもあるのです。
僕自身、数ⅡBまでなら偏差値70を超えることが出来たのですが、数ⅢCは無理でした(笑)
とても間に合わせる自信がなかったため、断念し、数ⅡBに集中した過去があります1年の浪人期間があってもそれだったので、やはり厳しい道であることは明白です。
数ⅠAや数ⅡBを早い段階で得意科目にして、数ⅢCにどれだけ時間を割けるかが勝負となりそうですね。
そのほかの国公立の獣医学科編
逆に上で紹介した3大学以外は、少しだけボーダーラインが下がります。
そして総得点における共通テストの割合が高い傾向にあるため、”どれだけ共通テストで得点できたか”がキーポイントになりやすいです。
またほぼ全ての大学(大阪府立大学を除く)で、数学はⅡBまでが試験範囲であり、科目も少ない傾向にあるため、難易度は若干下がります。
そして気になる共通テストのボーダーラインですが、一般的には80%ぐらいだと言われています。
しかし、これは個人的な見解ですが、80%では不十分なのではないかと僕は思います。
というのも、これにはいくつかの理由があるからです。
挙げられる理由として、
・定員が少なく、ボーダーラインが変動しやすいから
・入りやすい大学は存在せず、倍率や難易度が読めないから
・先ほどの上位校志望の人が、レベルを下げて受験してくるから
などです。
要するに、”前年度の倍率や合格最低点が次の年の参考になりにくい”ということです。
簡単にボーダーラインが変わるから、前年度はそれで通用しても、本年度はそうはいかないのです。
僕が岩手大学を受験した時も、センター試験の難易度はそこまで差がなかったのに、浪人時の合格最低点が現役時より60点くらい上がりました。
センター試験で83.5%得点し、二次試験も出来た自信があったのですが、結局僕は落ちてしまいました。
だから、共通テストで85%は取らないと、確実に合格とは言えないのではないかと個人的には思うのです。
80%でも受かるときはありますが、年度のバラツキで簡単に落ちます。
そのことを加味すると、やはり82~83%がこのレベルの国公立の獣医学科のボーダーラインなのではと思います。
そして受験生が目指すラインとして、85%以上となるでしょう。
そして二次試験で言うと、高校3年生・浪人生が受験する全統記述模試において、数英理の3科目の偏差値で、70前後は確実に欲しいところです。
また数学においては、ほぼ全ての大学でⅡBまでが試験範囲なので、70~75以上は欲しいところですね。
二次試験はそこまで難しい問題は出ませんが、英語や生物などは国公立ならではの記述問題が多いので、それくらいの偏差値がないと厳しい戦いになると思います。
私立大学編!
共通テスト利用方式
まずは共通テスト利用方式から振り返っていくことにしましょう。
共通テスト方式は、明確な合格者最低点数が発表されていることで、イメージがしやすいです。
私立大学専願の人も多いでしょうが、3科目しか使わない大学もあるので、視野に入れておくと良いかもしれません。
また、日本大学では、共通テスト利用方式がないこと、岡山理科大学では合格最低点を明確に公表していないことを知っておいて欲しいです。
では見ていくことにしましょう。
これが一覧表になります。
難易度 | 大学名 | 備考(必要点数など) |
最難関 | 日本獣医生命科学大学 | 88~90% 国語が必要である。 |
準最難関 | 麻布大学 | 88%前後 |
標準 | 酪農学園大学・北里大学 | 80~85%(年度により変動あり) |
未知 | 岡山理科大学 | 恐らく、80~85%は必要 |
まずは最難関となるのが、日本獣医生命科学大学です。
日獣は獣医学科には珍しく、共通テスト利用に国語が入っています。これは北里大学の5教科方式と同じです。
となると、対策すべきことが多くなり、より大変さが増します。
そして現代文が入ってこの得点率ですので、共通テスト利用方式での合格はかなり厳しいものになります。
ぶっちゃけ国公立の獣医学科と遜色ないです。
そして日本獣医生命科学大学に次ぐ難関として、麻布大学が挙げられます。
麻布大学は科目が理数英の3科目で、非常にべーシックであること、日獣ほどは合格者最低点が高くないので、この位置づけとなりました。
ですがやはり3科目のみとはいえ、87~88%を確実に取れるようになるには、かなりの対策が必要となります。
僕もかなりの国公立の獣医学科志望でしたので、かなりの対策を積みましたが、結局数点足りずに落ちてしまいました。
そしてこの2校ですが、これまでも何度も伝えてきた通り、”年度や共通テストの難易度によるボーダーラインの変動がほぼない”という特徴があります。
必要な点数が読みやすいという利点はあるかもしれませんが、裏を返せば、どんなに共通テストが難しくなろうが高得点が必要になるということでもあります。
その点は覚悟が必要でしょう。
そして北里大学と酪農学園大学ですが、この位置づけとしました。
どんなに合格者最低点が上がろうと、85%を超えることはほぼありません。
大体80~85%の間に落ち着くようです。そして年度によるボーダーラインの変動があります。
つまり、”難しい年にはボーダーラインが下がり、簡単な年にはボーダーラインが上がる”という単純明快な状態です。
この2大学のどちらかには確実に合格できるようにしておくと、獣医学科受験がかなり楽になると思います。
また、北里大学が5教科7科目でも受験できるため、国公立の獣医学科を志望する人にとっては、自分の点数を確認するためにも利用したいですね!
そして合格者最低点が公表されていない岡山理科大学ですが、公式HPでは、獣医学科の合格者最低点は8割程度だと書かれています。
ですが、これが一体何を示しているのか曖昧過ぎて、正直あてになりません。
どうして一般試験だと参考にならないのかは、この記事を読んでもらえれば分かると思います!

とはいえ最近できた大学であることや、追加合格者も多くいること、合格者を多く出していることを考えると、そこまで合格者最低点が高いとは考えにくいです。
なので今回はこのような位置づけにしました。
とまあ、共通テスト利用方式についてはこんな具合でしょう。
より詳しいこと(倍率や合格者最低点、日程等)を知りたい方は、以下の記事も合わせて読んでみてください!

一般試験
では次に一般試験におけるボーダーラインです。
一般試験は、共通テスト利用方式よりも難易度は下がります。というのも、共通テスト利用方式は合格者が少なく、受かるには相当の点数が必要だからです。
そして共通テスト利用方式で合格した人の大半は、その大学に進学しません。滑り止めとして受験することが多いからです。
結局共通テスト利用方式は、より高いレベルの大学を受ける人の滑り止めとして存在し、ボーダーラインでひしめいている人達にとっては、こちらの一般試験での合格が現実的でしょう。
かく言う僕も同じでした(笑)
麻布大学は一般入試で合格し、進学しました。
この章でも、高校3年生・浪人生が受験する全統記述模試において、どのくらいの偏差値が必要なのかを見ていくことにしましょう。
そもそもどうしてこの模試を基準にするのか知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください!


ではいきましょう!
難易度 | 大学名 | 備考(偏差値など) |
最難関 | 日本獣医生命科学大学 | 65~70程度(3科目で) |
準最難関 | 麻布大学・日本大学 | 65程度(3科目で)日大の方が難関? |
標準 | 酪農学園大学・北里大学 | 60~62.5程度(3科目で) |
未知 | 岡山理科大学 | 恐らく、62.5~65程度(3科目で) |
このようになると思います。
序列としては、共通テスト利用方式とほとんど一緒です。
違うのは、必要とされる学力レベルが共通テスト利用方式に比べて、下がったというだけです。
まず日本獣医生命科学大学です。
やはり他の私立獣医学科とは一線を画します。そう簡単には受かりません。
定員も少なく、多めに合格者を出すこともあまりしません。
僕の周りでも、日獣に受かった人は少ないです。
また日獣は英語と数学において共通テストの点数を使い、理科だけを大学独自試験にするという方式を採用しています。
この大学独自試験がかなり難しく、対策をかなり積んでいても高得点が狙いづらいです。僕も経験しましたが、とても難しく手ごたえはあまりありませんでした。
60点前後くらいの手ごたえでした。
となると他の2科目で9割近い得点が必要です。それで合計点が、90+90+60=240(80%)
ぐらいなので、合格者最低ラインに到達するでしょう。
独自試験で巻き返す!という発想はあまり現実的ではないので、やはり必要な偏差値は高くなるように思います。
偏差値65~70と言うと、思っている以上に難しいです。
数学なら、4つ大問があるとしたら、2つ半~3つは完答したいところです。140点/200点くらいの得点率が必要でしょう。
英語なら6~7割、理科も同様です。
記述における設問で、満点を取るのは難しいので、手ごたえ的にはかなりできたくらいのレベルが必要かなって思います。

では次のレベルに移りましょう。
準最難関です。
ここには日本大学と麻布大学がノミネートされると思います。この2大学は日獣ほどではないにしろ、人気が高く難易度も高いです。
やはり都会にキャンパスがあるため、受験生からの人気も高いのです。この2大学が第一志望という受験生もたくさんいます。
そしてこの2大学は、全統記述模試においても、3科目(英数理)で65以上は確実に欲しいところです。
特に数学は早い段階で到達しておく必要があります。理科や英語は割と誰でも達成できてしまいますが、数学が本当に厄介なので…
また、この2大学では、僕は日本大学のほうがより難関なんじゃないかと思っています。
というのも、日大は推薦での合格者も多く、一般試験で入学するのが大変だからです。また試験問題が簡単であるがゆえに、差が付きにくく、少しのミスが命取りになりかねないからです。
麻布大学は問題が難しいので、できない問題は出来なくても何とかなります。でも日大は問題がそこまで難しくないので、完璧さを求められるのです。
その点において日大の方が合
格が難しいのではないかと思うのです。
また、偏差値60を超えるのはそこまで難しいことではありませんが、65を超えるためにはその科目が得意だと言えるレベルにしなくてはなりません。
僕の場合も、苦手な数学をこのレベル以上に持っていくのが一番苦労しました。
先ほどの日獣での説明でもあった通り、記述模試で7割前後の得点率は必須ですね。
特に全統記述模試なら。
意外なところで減点されているのが記述模試なので、試験の手ごたえとして、
「あれ、これめっちゃ良い感じじゃね?ペンが止まらなかった!!」と感じるくらいじゃないと到達できないです。
少なくとも僕はそういう手ごたえを感じるようになってから、麻布大学A判定を貰えるようになりました。
足は引っ張らない科目→得点源
のレベルまで持っていくことが必須ですので、気を引き締めて日々頑張ってください!!


そして次点のランク付けとなるのが、北里大学と酪農学園大学です。
やはり合格しやすさ、難易度には明確な差があると僕は思います。それは共通テスト利用方式において、合格最低点が変動する事実からも明らかです。
まあとはいえ難関であることには変わりないんですけどね(笑)
なんとなくで受けて受かるほど甘くはありません。
ですが、数学に多少の苦手意識が残っていても、英語と理科で巻き返しが可能です。
辞退者のことを考えて、合格者数も多めに採用しています。
そのため上位の大学群に比べると、倍率が低いです。(5倍程度)
どうしても数学が得意にできないけど、英語や理科は好きでどんどん伸ばせるのであれば、その戦法をとっても良いでしょう。
補欠合格もあるので、仮に自信がなくとも受験しておくことを勧めます。



そして最後に未知の領域、岡山理科大学です(笑)
やはり合格最低点が公表されていません。
ですが、まだできたばかりで、合格者が多めにいることや、試験方式が多数あることを考えると、そこまで難関ではないように思います。
具体的には、北里大学・酪農学園大学と同等か少し上くらいだろうなと思います。
これがもっと年数が経てば分かりませんが、現段階ではそのような位置づけになると思います。
受験方式が沢山あるので、自分に合った方式を1つ受験すれば十分ではないかと思います。ほかの大学と日程が被るときがあるので、そこはどちらにより進学したいかで決めると良いでしょう。
以上が一般試験におけるボーダーラインでした!
最後に
いかがでしたでしょうか。
僕なりに客観的な数字と、主観的な手ごたえ等を交えてお話してきたつもりです。
正直皆さんの現状によって、僕の主観的な部分は分かりづらいかもしれませんが、具体的な数字というのは、かなりリアルなものです。
国公立の獣医学科を志望する人は、簡単な大学なんて無いということ、簡単にボーダーラインは跳ね上がることをしっかり理解してください。
思っている以上に受かりません(笑)
予想よりも難関です。
そして私立獣医学科は、明確なレベルの違いがあります。
受かりやすさには差があります。
でも、それは高いレベルでの違いなので、「北里は楽勝!」とか、「どうせどっかには受かるっしょ!」って思わないことです。
僕の友達のほとんどはそれで落ちて、諦めていきました。
生半可な気持ちでは絶対受からないのが獣医学科です。
どのくらい本気でその夢を追いかけるのか、どれくらい本気で獣医学科を目指すのかがとても重要です。
「受かればいいなあ~」や「だめもとで受けてみるかあ~」って気持ちで受けた人は100%落ちます。
自分がいかに大変な道に進もうとしているのか改めて理解し、その上でどのくらいのレベルが求められるのかを把握していきましょう!!
では!!