皆さんこんにちは!
最北端獣医師のノスケです!
僕は2020年に麻布大学の獣医学科を卒業し現在は日本最北端の地で牛の獣医さんをやっています。
僕が獣医学科を卒業し、獣医師国家試験を終えてから早1年が経ちました。
国家試験のことについては以下の記事を参照してみてください!


僕は普段獣医師を目指す人、現在獣医学科の人などに向けて色々な情報を発信しています。
そして今回は、現在将来について考え中の獣医学生の皆さん、そして獣医師という仕事に少しでも興味を持っている人たちに向けて、
”北海道NOSAIの5つの組合を徹底比較”
していこうと思います!
ちなみに今回は第2弾である各組合のデメリット編になります!
各組合においてここはデメリットなのかなあって思うことを紹介していきます!
ちなみにメリット編については以下の記事を参照してくださいね。

僕自身北海道で牛の獣医師をやっていますが、学生の頃は北海道のそれぞれの組合がどんな特徴があるのかイマイチ良くわかりませんでした。
だったら僕が1年働いて得た、自分の経験+まわりの友達の経験・評判を基に、比較しちゃえばいいじゃん!!ってなったわけです。
本当は5つの組合すべてを渡り歩いた上で比較したほうが良いのかもしれませんが、それは物理的に不可能に近いので・・・(笑)
完全に独断と偏見に基づいて行うことになるので、「全然そんなんじゃないよ!」ってクレームとかは心の中にとどめておいてほしいです(笑)
あくまで僕自身の経験と、おなじNOSAIで働く友達から聞いた話や経験をもとに行います。
ではいきましょう!!
各組合を徹底比較!!~デメリット編~
NOSAI道東のデメリット編
・とにかく仕事が忙しい
・1頭1頭じっくりという訳にはいかない
・先輩一人一人の哲学が違うから、新人は戸惑う?
・アクセスがあまり良くない
・春や夏は霧が多いため、天気がそこまで良くない
・最近は新規獣医師の数が減り気味?
メリット編において、NOSAI道東は獣医師の数も牛の数も多く、経験をたくさん積むことが出来るということをお伝えしました。
ということは裏を返せば、めちゃくちゃ忙しいってことです。
1頭1頭に時間をかけてじっくりというよりは、数をどんどんこなしていくということになります。
人によっては作業感を持ってしまうことになるかもしれません。
そして疲労もたまります。
僕の道東の友達に、給料が高くて羨ましいって話をしたら、「その分だけ働いているってことだよ!楽じゃないよ!」って疲れたように言っていました(笑)
忙しさは北海道で1,2を争うレベルってことですね。夜間の当番も、呼ばれる件数が他とはけた違いでした。
また先輩が多いということは、治療に関する考え方もたくさんあるということです。新人は可愛がられて色んな人に多くのことを教わることになると思います。
そうなると「Aさんはこう言っていたけど、Bさんは違うことを言っているな」みたいにどの人を信じていいのか分からなくなる可能性も高くなります。
獣医師は基本的に自分の哲学を持っているので、ぶつかることも少なくありません。若手獣医師は戸惑ってしまうことも多いかもしれません。
獣医師の数が多いことはメリットもたくさんあるのですが、その分新人獣医師は誰の意見を参考にするのかを見極めていかなくてはなりません。
またここからのデメリットに関しては、獣医師の仕事というよりは環境的な面での話になるですが、
道東は冬は雪が少なく快適な反面、春から夏場にかけて霧が多く、天気があまり良くありません。
モヤモヤしたはっきりしない天気の日が多く、夏場はちょっとテンションが下がってしまうかもしれません。
日当たりの大切さは本当に感じます(笑)
またアクセスもそこまで良くないです。
空港はあることはあるのですが、便数が少なく空港間の距離も遠いです。
また道内での公共交通機関でもアクセスがあまり良くないので、基本的に車がメインの移動手段になります。
夏場は問題ないのですが、冬場は路面が凍っているのでちょっと不便さは感じてしまうでしょう。
そして道東は最近、定員よりも志望者が少ないという状態が続いています。まあもともと募集人数が多いので、しょうがないことかもしれませんが。
それでも僕が所属するNOSAI道央はむしろ志望者がここ数年で2倍近くに増えていることもあり、北海道NOSAI=道東という考えはなくなっている気がします。
NOSAI道央のデメリット編
・診療所ごとによって診療面での差が大きい
・診療所あたりの獣医師は少ない傾向
・往診距離が長い
・雪が多く、冬も寒い
・これからは志望者が多くなり、必ずしも入れない可能性がある
まず僕がNOSAI道央に入って感じたことが、診療所によって差が大きいということです。
というのも、例えば道東や十勝なんかは割とどこの診療所に配属になっても、診療頭数も多く、学べることも多く、経験もたくさん積めます。
ですが、道央に関しては、地域差が大きいのです。
旭川や札幌よりの南の地区は、メインが畑作や稲作なので牛の頭数が少なく、正直獣医師としてのスキルを身に着けるのにどうしても時間が掛かってしまいがちです。
その分都市が近いので、生活のしやすさは上がります。
逆に北に行くほど畑作が不可能となり酪農が盛んになるため、診療頭数も必然的に多くなります。
そこでは忙しい反面、獣医師としてのスキルが早く身に着きます。トライ&エラーの数が多いので、道東や十勝にも負けないくらいの経験が積めます。
ただしその分田舎Maxなので、生活は不便なものとなります。
つまりこのように地域差が大きいです。自分が重要視するものを明確にし、実習や説明会でその地区の特徴を見極め、その上で志望しないと、ミスマッチが起こる可能性が出てきます。
道央は地域差が大きいということをしっかり覚えておきましょう!!
また診療所当たりの獣医師が少ないこともデメリットかなあって思います。これに関してはどこも割と同じで、地域差はありません。
道東や十勝ほどの獣医師はいないので、移動が重なる年度末は割と大変です。
まあそれでも何とか回してはいるのですが、当然獣医師一人当たりの負担が増えてしまうのはデメリットと言わざるを得ないです。
とはいえ、先述の通り、NOSAI道央の若手獣医師はどんどん増えてきており、獣医師の数も充実してきています。
なのでこういった問題が解決するのも時間の問題でしょう。
ただし!!
志望する学生が増えてくるということは、倍率が上がっていくということでもあります。
これからは志望しても、確実に合格するという保証はなくなってくるでしょう。試験の勉強はもちろんのこと、しっかりした就活対策をしておく必要が出てくるということでもあるのです。
そして環境面なのですが、診療区域がとても広いため、往診距離が多くなりがちです。1日200キロとかの運転は割と当たり前だったりします。
これが体力と時間を持っていかれてしまう要因で、覚悟しておく必要があります。また冬は雪がとても多いので、特に大変です。
12月下旬~3月上旬は往診するだけでも苦労します。そこは道央が北海道でも1,2を争うレベルでしょう。
NOSAI十勝のデメリット編
・とにかく1日中忙しい
・倍率が高く合格するのが難しい
・獣医師の入れ替わりが激しい
・雪は少ないが冬が寒すぎる
・1人立ちが他に比べて遅い傾向
最初の項目に関しては、メリット編でもお伝えしたのですが、十勝地方は午前に往診をして、午後には手術や繁殖や人工授精業務を行っています。
なので当然1日中忙しく働くことになります。聞いた限りだと昼ご飯を食べる時間もないくらい忙しく働いているそうです。
それでも良いという人には当然合っているとは思うのですが、僕みたいにメリハリがあるほうが合っているというタイプにはちょっときついです(笑)
ご飯食べないと力も出ないので…。
また倍率が毎年2倍を超えることがほとんどなので、仮に志望したとしても合格するかは分かりません。
もし落ちてしまうと、他の組合の二次募集に応募することになるのですが、それは不確実であり、しかもそこが自分の重要視するポイントを満たしてくれるかどうかは分かりません。
それに最近では他の組合の人気が高まっており、二次募集があるかさえ分かりません。
受かるか分からないリスクを背負ってまでNOSAI十勝が良いのかを、受験前にしっかり考えておく必要があります。
またNOSAI十勝は他の組合よりも入れ替わりが激しい印象があります。
幅広いスキルを早く身に着けられるという点で、NOSAI十勝に勝るところはないとは思うのですが、その分しんどい部分も多く、長く働く人も少ないというのも事実なのでしょう。
そして、他の組合よりも1人立ちが遅いのもまた事実です。
とはいえこれは本当に捉え方次第なのではあるのですが。
このことをメリットとして考えるなら、じっくり育ててくれるから安心という考え方もできるでしょう。
ですが、その分自分の裁量で仕事ができるようになるのが遅く、数か月経って自分一人でやってみたいときも、それが出来ないストレスがあるということでもあります。
僕自身、一人で診療を回るようになった時に成長速度が一気に上がったのを実感したので、個人的には1人立ちが遅いのはデメリットなのかなあって思ったりしてます。
また冬はとにかく寒いです(笑)
雪はそこまで降らないのですが、盆地ということもあり寒さが桁違いです。
住んでみなくては分からないかもですが、寒すぎると薬や輸液が凍ったり、手先が思うように動かなかったりと不便なことも多いです。
僕の同期も冬はとても苦労しているようでした(笑)
NOSAIみなみのデメリット編
・馬の分野は朝が早く、休みが少ない
・牛の頭数は少なく、スキルが身に着くのに時間が掛かる
・給料が他の組合に比べて安い
NOSAIみなみが他の組合と大きく違う点として、馬をメインで診療する地域があるということです。
特にそれは日高地方で顕著であり、忙しさも他の診療所の比ではありません。
馬は季節繁殖ですので、特に春~初夏にかけては獣医師はとにかく忙しく働くことになります。
朝は5時には起きて診療をし、帰る時間も暗くなってからということが多いようです。
季節限定とはいえ、この数か月はかなりきつい仕事になります。
覚悟していたとしても大変な仕事ですので、志望する人はそこをしっかり理解した上で志望しなくてはなりません。
また道南地方は、酪農以外も盛んであるため、牛の頭数がそこまで多くはありません。馬の診療ならば他の追随を許さないくらい進んでいるのですが…。
なので、馬を診療したいor都市が近いというメリットを重要視しないのであれば、わざわざ道南を志望する理由は少ないのかなあって個人的には思います。
そしてNOSAIみなみは給料が他の組合に比べて安いのがネックです。
というのも、他の4つの組合は医者と同じ給与表を基に給料が決まっており、昇給もそれにのっとっています。
ですがNOSAIみなみだけは看護師と同じ給与表を用いているので、初任給も給料の上り幅も他の組合に比べて少ないということがデメリットであると思います。
これから変わっていくかもしれませんが、現状ではそのようになっています。
NOSAIみなみに関しては、馬の診療をしたいかどうかが大きな志望の理由になっています。
最後に
今回は各組合のデメリットについて焦点を当てて記事を書きました。
これは僕が大学時代の実習で感じたこと、説明会での話、実際に1年働いてみて感じたこと、他の組合の友達に聞いて知ったことを総合したものです。
もしかしたら実際には異なっていることや、組合の中でも診療所によって異なっていることもあるでしょう。
これはあくまで傾向の話なので、100%そうだと言い切れるものではありません。
そして人によっては、紹介したデメリットがデメリットではないということも大いにあり得ます。
例えば1人立ちが遅くなっても良いから、とにかく多くの先輩から学びたいということであれば、NOSAI十勝のスタイルはむしろメリットです。
また、試験で入りやすいほうが良いのであれば、最近の道東における定員割れはむしろ追い風かもしれません。
そういった具合に人によって大きく変わってくるのです。
そういった各組合の個性や、自分への適性を知るためにも、説明会には積極的に参加し、かつ実習にも複数行くことをお勧めします。
僕はそれを知るためにも、合計で4つの診療所に実習に行きました。
そして自分の重視するポイントを満たしてくれているかどうかをしっかり見極めて就職先を決めました。
1~2週間の短い実習でも、意外とそれは見極めることが出来ます。
4~5年生は特に真剣に実習先を精査して、就職先に後悔がないようにしてくださいね!!
では!!
