皆さんこんにちは!
最北端獣医師のノスケです!僕は2020年に麻布大学の獣医学科を卒業し、現在は日本最北端の稚内で牛の獣医をやっています。
そんな僕も6年前は獣医学科を目指して勉強する受験生でした。
ところで皆さんはこんな言葉を聞いたことはないですか?
”夏は受験の天王山”
僕自身、現役の時にこれを先生たちがしきりに言っており、そして夏休みのテキストや宿題にもこの言葉が書かれていました。
予備校のキャッチコピーにも使われていることが多いこの言葉。
でもこの言葉の本当の意味が僕はなんか違うような気がしているんですよね。
それは僕が現役・浪人と受験を経験してきて肌で感じたことでもあります。
今回はそんな”夏は受験の天王山”という言葉について深掘りしていこうかなって思います!
Contents
天王山ってそもそもどういう意味?
京都盆地の西側,老ノ坂山地の南部にある山。標高270m。淀川をはさんで対岸の男山と相対し,京都盆地と大阪平野を結ぶ部分にあるため,古来戦略上,重要な位置を占めていた。特に1582年の山崎の戦が有名で,以後,勝敗を決する時の比喩(ひゆ)に用いられる。
たしかにこの言葉、間違いではないです。夏の過ごし方が受験の結果を左右するのは言うまでもないことです。
でも僕はこの言葉ってなんかあまり良い言い方でないような気がします。
その理由をこれから説明します。
”夏は受験の天王山”という言葉が生む誤解
なんかこの言葉を聞くと、それまでの成績はそこまで関係なくて、夏さえ頑張りさえすれば受験がうまくいくって思いませんか?
僕は当時そんなことを思っていました。
「高校3年間部活や遊びに一生懸命で、あまり勉強してこなかったけど、夏から本気出せばなんとかなるんだ!」って本気で思っていました。
でも、本当は違います。
高3の夏の頑張りで受験が決まるんじゃない。
高3の夏までの過ごし方で、受験の結果はほとんど決まってしまっている。
というのが大学受験のリアルです。
確かに倍率があまり高くない中学受験や高校受験は、夏から頑張っても志望校に合格することは可能です。
実際僕も高校受験において、本気で取り組んだのは7~8月からでした。当時は偏差値的に10以上足りませんでしたが、2~3か月でなんとかB判定まで学力を上げ、偏差値67の高校に合格しました。
でもそれってせいぜい倍率1.5倍とかそんな世界で通用しただけに過ぎません。
でも大学受験って、難関大なら10倍、20倍は当たり前です。
僕が受験した獣医学科も毎年10倍の倍率を誇っていました。
そんな厳しい世界で夏から頑張って間に合うわけがないんです。
現に僕も見事に獣医学科に全落ちして、浪人が決定しました。
そして僕がこのように思うのにはもう一つ大きな理由があります。
それは、大学受験において、受験の合否と一番相関性が高い模試が夏に行われるからです。
その模試というのが、河合塾が行う全統模試の第2回目です。
この模試の特徴というのが
・全模試の中で一番受験者数が多い
・判定が最も厳しい
・問題レベルが適正
・優秀な人がこぞって受験する
などです。実は全統模試の第2回が、どの模試よりも受験者が多いんです。そして当然判定も一番厳しく出ます。
そしてその受験者は35万人以上にのぼります。センターを受験する人が50万人程度いるので、いかに受験者が多いのかが分かります。
その後の模試は10~20万人程度しか受験しません。
となると、そこでの判定がいかに信用に値するかが分かります。
優秀な人たちはそのことをよ~く分かっているので、この模試めがけて対策を徹底します。
この模試で良い成績を取ってしまえば、あとの模試はあまり意味がないので、優秀な人からどんどん受験しなくなります。
大学受験においてこの模試がいかに重要であるのかは、以下の記事でも紹介しています。獣医学科メインの記事内容ですが、難関大を目指す多くの方にとって、とても参考になると思います。

だから全統模試の第2回で良い成績を取ることがとっても大切であり、そしてその模試が8月に行われるんです。
ってことは夏から本気出しているようでは、かなり出遅れています。
そしてそのことに僕は浪人してから気づきました。そしてその模試めがけて勉強していったら、獣医学科に複数合格していました。
どうしてこの言葉が世の中に出回っているのか
①予備校が受験生を集めるため
実際難関大であればあるほど、夏の時点での成績が、受験の結果に結びつきます。
そしてそのことは受験のプロである予備校や塾業界はよ~くわかっているはずなんです。
でもそのことを予備校業界が言ってしまったら、誰も夏期講習なんて来なくなりますよね?
もう遅いんじゃないかって思ってしまうじゃないですか。
そしたら商売あがったりです。
それに夏の模試の成績が悪くても、逆転合格は起こりうることですし、それをどのくらい起こせるかが予備校のセールスポイントでもあるからです。
夏期講習でどれだけの人が集まるか、そこが予備校や塾のその後を決める大事な要因ですから、そんな事実を言うわけがないんです。
でも僕は現役生の時、そのことを鵜呑みにして夏から本気を出したため、結局間に合わず浪人しましたし、夏時点での成績が勝負と知って、それに向かって突き進んだ結果、合格を勝ち取りました。
②多くの人が最終的に志望校のレベルを下げるから
夏までの時点では、多くの人が
「第一志望は譲れない!!」って息巻いています。そしてモチベーションに燃えています。
特に現役生ではそれが顕著です。
でも受験勉強をしていく中で、思うように成績が上がらず、焦りが出てきます。
そして11月~12月あたりの面談で、志望校を下げたりします。
もしくはセンターが終わってから下げる人もいます。
そしてそのままレベルを下げた先の大学に進学します。そうすると、見かけ上は大学にしっかり受かったように見えます。
それまでの葛藤なんて本人にしか分かりません。
そして学校も予備校も○○大学合格!
くらいにしか書きません。間違っても
××大学からレベルを下げて、○○大学に合格!!
なんて書かないじゃないですか(笑)
本人だって、その事実を喜んで話そうとしません。てことはそんな事実はそもそもあまり皆さんの耳には入ってこないんです。
でも20人に1人のミラクルは大々的に取り上げられます。すると、夏から本気だせば何とかなるというミラクルのみが、皆さんの耳に入り、それを信じてしまうんです。
本当はその裏でたっくさんの人が志望校に届かず、そして諦めていっているんです。
夏の時点で勝負はついてしまっていることは、結局皆知らずに受験を迎えてしまうんです。
そう当時の僕のように。
③現役生は伸びしろがあると思われているから
皆さんも聞いたことがあると思います。
現役生は後半の伸びがあるから、逆転が可能だ!って。
でもそもそも逆転なんてそう簡単には起こりませんよ。もともとの力関係をひっくり返すことがそんなに頻繁に起こるほど受験は甘くないです。
そして難関大であればあるほど浪人生は増えます。
彼らは一度大きな挫折を経験し、そしてその悔しさをばねに必死に勉強します。
現役生とは覚悟が違います。そして夏時点での成績がどれだけ重要だったかを身をもって知っているため、そこめがけて努力しています。
だからのんきに構えている現役生とその時点で大きな差が生まれています。
いくら現役生が伸びしろがあろうが、浪人生の勉強量や緻密さには勝てないことが多いです。だから現役生で難関大に合格する人は、もっと前から対策をしなければなりません。
その結果、一般試験では浪人生が多数を占めることになるんです。
現役生は推薦やAOなどを活用しなければ合格できないことも多々あります。
夏にまでに出来た差がそのまま受験の結果に直結する
つまりは夏までにできた差が、結局は埋まることなくそのまま受験の結果に直結しているってことなんです。
僕はそれを薄々感じてはいましたが、結局は認めたくなくて、逆転が出来ると思っていました。でもやっぱりそのまま浪人が決定しました。
そして浪人して、自分が夏までに合格できる力を付けた側に立ってみて、改めてそれが覆りにくいことを、身をもって感じました。
現役生だろうが、浪人生だろうが、結局受験で成功する人たちはそれをよく知っていて、そこまでに結果を出そうとします。
夏から本気出す人が勝てるわけはありません。
あっても、ごく少数です。
だから皆さんも、夏までに結果を出さなきゃならないんだって思って、日々過ごしてほしいのです。それを意識することが出来れば、勝手に行動は変わります。
仮にそれが達成できなくても、危機感をもってその後の受験生活を送ることが出来るようになります。
そうすればその後の数か月間も変わり、結果も変わってくるかもしれません。
だから、”夏は受験の天王山”って言葉を都合よく解釈せず、
”夏までの過ごし方が受験の天王山”
って自分に言い聞かせてください。
これは、現役生の時にそれを知らずに甘い考えをして浪人した僕からのアドバイスです。
皆さんがそうならないように!!
では!