皆さんこんにちは!
最北端獣医師のノスケです!
僕は2020年に麻布大学の獣医学科を卒業し現在は日本最北端の地で牛の獣医さんをやっています。
僕は普段獣医師を目指す人、現在獣医学科の人などに向けて色々な情報を発信しています。
そして今回は、現在将来について考え中の獣医学生の皆さん、そして獣医師という仕事に少しでも興味を持っている人たち、そして何より新人獣医師ととして仕事を始めた後輩たちに向けて記事を書きます!
今回のテーマは、”NOSAI獣医師の僕が、買って良かった教科書5選!!”です。
教科書や参考書は、学生の頃にたくさん買って使うイメージかもしれませんが、実は就職してからのほうが使う頻度は高いんです!!
いくら国試に合格して、社会的には獣医師として資格を貰ったとしても、実際は知らないことばかりです。
実践で学ぶことのほうが何倍も多く、そして自分の身になります。
そんな時に、多くの先人たちが残していた知識や技術をが詰め込まれた参考書や教科書というのは、とても重要な役割を果たしてくれます。
僕自身も、往診にいく前、往診の後、手術の前、細菌検査を行うときなど、学生時代の何倍も教科書を読むようになりました(笑)
学生時代はほとんど教科書を買うことさえしなかった僕が、獣医師として働いていく中で、買って良かった教科書を今回は紹介します!!
今回の記事の内容!
・獣医師1年目の僕が買って良かった教科書5選!
・その理由!
・教科書はどうやって買う?
こういった内容について語っていこうと思います!!
ではいきましょう!!

Contents
NOSAI獣医師の僕が、買って良かった教科書5選!!
早速ランキングに入る前に、まずはどういった基準で選んだかを明確にしようと思います。
例えば学生時代の基準としては、
・テストに出るかどうか
・コスパ
・国試でも有用かどうか
こういったことが基準になってくると思います。でも獣医師として働くとなると参考書選びの基準も変わってきます。
それは僕自身も体験して学びました。
なので今回の参考書を選ぶ基準として、
・日々の診療でいかに役立つか
・分からないことがあった時、辞書のような役割を果たせるか
・アップデートが頻繁にされているか
・値段
こういったことを基準として選んでいこうと思います!
第5位 COW SIGNALS 乳牛の健康管理のための実践ガイド
なので病気を治療する獣医師にとって直接的には関係がないように思えます。
ですが、牛を飼う上で基本的な情報がこの本にはたくさん書かれています。
例えば、牛舎内でみるべきポイント(空間・明るさ・気温・蹄など)や、牛の状態(BCS・糞の状態・ルーメンの状態など)や、牛と接するときに気をつけるべきことなどです。
他にも牛の一般的知識(成長や発達、各ステージのこと、牛の変化など)もこの本にはしっかり書かれています。
こういったことは農家さんにとっては常識中の常識で、基礎となる知識です。ですが獣医師(特に新人獣医師)にとっては意外と知らないことだったりします。
僕も最初、農家さんが普通に言っていることでもよく意味が分からないことが多々ありました。
でもそれが分からないと苦労することがあります。というか話が通じず信用されないという事態になることだってあります。
皆さんが大学で獣医学を勉強する際に、基礎となるのは、高校生までに習った数学や生物・化学、英語だったと思います。
それと同様に、皆さんが獣医師として働くにあたり、まず知っておかなければならない最低限の知識や、実際に往診の時に見るべきポイントを、この本は網羅してくれています。
先輩や農家さんには聞きづらいこともこの本には細かく書かれています。しかもイラスト付きで。
診療が落ち着き割と暇な午後だったり、ちょっとした隙間時間にパラパラとめくるだけで、来るべき1人立ちのときに備えることが出来ます。
まずは牛の基本的なこと、見るべきポイントを学びたい!!って人にはとにかくお勧めの1冊になっています。
価格もそこまで高くないので、ぜひ持っておくことをお勧めします!!
第4位 牛の跛行と蹄管理
僕がこれを選んだ理由が、大学ではほとんど蹄病のことを学ばないのに、獣医師としてはたらくようになると、必須の知識だからです。
地域によっては、蹄病を獣医師が扱わないというところもあるでしょうが、ほとんどの地域では獣医師が蹄病を治療することになります。
でも大学だと一部の人を除いて本当に蹄病については知らないことだらけなんじゃないかと思います。
僕自身も恥ずかしながら、就職するまで牛の蹄をじっくり見たことさえありませんでした。
正直言って、就職してから、1から学ぶというレベルでした。
そして牛の蹄というのはとても複雑で、かつ病気も多いです。
どこに何の病変が出来るのか、蹄はどの状態が健康なのか、解剖学的にはどうなっているのか・・・
知らなくてはならないことが盛りだくさんです。
でも一般的な教科書では記述が不十分で、なんだかわかったような分からないような…
という事態になりがちなんです。
良くある言葉に、「異常を見つけるためには正常を知る必要がある」というものがあります。
まさにこの本は、正常を詳しく解説しつつ、その上で異常である病気の状態、診断法から治療法までをこれでもかと解説してくれています。
とはいえ正直言って蹄病というのはかなり難易度が高く、そして他の治療よりも技術が求められます。削蹄師という職業があるくらいですから、一筋縄ではいかないです。
だからいきなり新人がバリバリ蹄病をやるということはありませんし、他の技術よりも時間をかけて、経験を積んで学んでいく分野です。
また値段もなかなか張ります。
なので新人獣医師がいきなりこの本が必要ということはありませんが、往診随行の際や、自分で少しずつ往診を回るようになった時、蹄病専用の参考書が1冊あることはとても有用です。
優先度はそこまで高くはないので、もし余裕があったら購入を考えてみても良いと思います。
第3位 牛乳房炎抗菌剤治療ガイドブック
これに関しては書籍というか、農水のホームページから誰でも無料でダウンロードできるPDFなんですが…
しかしこれがとても役に立つんです!!
牛の病気でもっとも多いとされている乳房炎という病気。NOSAI獣医師として働いているのなら、関わらない日はないと思います。
それくらい獣医師にとって重要な病気でなのですが、原因菌の多様性、培養検査のノウハウ、効果的な治療法や薬剤選択、臨床症状など知らなくてはならないことが盛りだくさんです。
特に細菌培養検査では、コロニーの性状やグラム染色などの結果から迅速に診断することが求められます。
また現場では、牛の状態から原因菌を推測し、適切な薬剤選択や治療が求められます。
そのために必要な知識が分かりやすく写真付きで、しかも無料で手軽に手に入るのです。
僕もこれは未だに何回も見返しています。農家さんに質問されたときにも、この冊子を基に回答しています。
そして難しい抗菌剤選択のことも、薬剤耐性についてもしっかり書かれているので、治療法の参考にもなります。
新人のうちはこういったマニュアル的なものがあると本当に助かるものです。
そこから多くの経験を積んで自分流のスタイルを確立していくことになるので、こういった原点的なガイドブックがあると、とても重宝します。
とりあえずダウンロードして、印刷し、常に持ち歩くようにすると良いと思います。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/pdf/MastitisGuidebook1st.pdf
第2位 病態からみた牛の輸液
獣医師として治療をしていく中で、一番多くやる治療って何だと思いますか?
僕が思うに、それは”輸液”です。
間違いなく多くの獣医師は輸液を一番多く行っています。
それくらい輸液って大事な分野です。
親牛の第四胃変位、子牛の下痢、ケトーシス、手術時の輸液など、とにかく輸液が必要なタイミングは多いです。
輸液自体は、針をぶっさして輸液剤を注入するだけなので簡単な作業なのですが、
「どの輸液剤を、どのくらいの量、どのくらいのスピードで」輸液するのかというのはとても難しい問題です。
未だに色んな獣医師でメソッドが分かれている分野です。
また牛は人と違って体重が600キロ以上もありますし、胃も4つありますし、子牛と親牛の間でも多くの違いがありますし、人の理論がほぼ通用しません。
ネットで調べても思うような答えにはたどり着かないでしょう。
でもこの本は牛の体液組成から学ぶことができ、理論的な体液分布や脱水の評価、適切な輸液の量やスピードも網羅されています。
そして各病態に応じた、適切な輸液剤とその量もしっかり書かれており、代表的な症例や状態に、どのような輸液を行えば良いのかがすぐに分かるようになっています。
要するに牛の関する輸液の最強の参考書ってことです。
これさえ持っていれば、牛の輸液で分からないことはなくなります。
特に子牛の下痢による脱水に関しては、詳しすぎるくらい書かれており、僕自身もそれを参考にしてからというもの、下痢の子牛が回復して元気になることが多くなりました。
若手の獣医師にとって、もはやこの輸液の本は、持っていない人がいないくらいです。
それくらいなくてはならない参考書だと僕は思います!!
まず何から買おうか迷っている人はこの本を買うことをお勧めします。
第1位 牛の臨床
この本は紛れもなく産業動物獣医師のバイブルです。
産業動物獣医師として働いている中で遭遇する病気の99%はこの本に載っています。
それくらい完璧に網羅されています。
そしてこの本がどうして優れているのかというと、
・所見、血液検査の性状、臨床症状、治療法、予後が丁寧に書かれている
・全ページカラーなので、とにかく見やすい
・所見から索引できるようにもなっている
・写真が充実している
・頻繁にアップデートされている
といった理由があるからです。
分からない・調べたい病気があるときに、臨床所見からも検索できるようになっているのです。
例えば、「血便を呈する病気」とか、「発咳を示す病気」などといった風に、所見別にまとめられていて、その中から特徴などを基に病気を絞ることが出来ます。
またカラーなので、実際の所見と見比べやすく、写真も多いのでとても参考になります。
実際に往診中に、「これ、この前牛の臨床で見たやつだ!」ってなることもよくあります。とにかく使わない日はありません。
そして割と頻繁にアップデートされているので、現在の治療法や考え方なども知ることが出来て、日々の治療に役立てることが出来ます。
わざわざ論文を調べなくても、それを代わりにやってくれているので、この1冊でほとんど解決してくれます。
新人のうちは分からないことはこの本で調べれば、血液所見や臨床症状、治療法から予後まですべて知ることが出来るので、これ以上ない勉強教材となります。
またベテランの先生でも、よく読んでいるので、新たな発見や、レアな病気を調べたい時にも役立ちます。
牛の治療に携わる獣医師は皆買うべきなんじゃないかってくらい役に立ちまくるので、とりあえず就職したらこの参考書を真っ先に買うべきだと思います!!
最後に
いかがでしたか?
僕がNOSAI獣医師として働いてから1年が経ちましたが、今紹介した5冊は本当に多くの場面で僕を助けてくれました。
診療車に常に積んでおいて、往診中に分からないことがあった時は、これらを読んでいたこともあるくらいです(笑)
実際に獣医師として働くと、大学生の時みたいにはいかず、受動的だと何も学ぶことが出来ません。
だからこそこういった参考書でしっかり学んで、実際に治療を行い、そしてまた調べる。
これの繰り返しが成長を大きく促してくれます。
僕みたいに、獣医師として働き始めたときに何の知識もない状態だとやはり苦労します。
そんなときにこれらの参考書の存在がとても役に立ってくれました。
大学生の時みたいに何冊も買う必要はありません。
この厳選された5冊でも十分すぎます。
そして特に”牛の輸液”と”牛の臨床”は絶対に買っておくべきだと僕は思います、使用頻度がとても多いので。
迷っているならこの2冊だけ買っておけば間違いないです。
そこから必要だと思うモノを追加していくのがベストかもしれません。
獣医師として働いていると、知らないこと・見たことない症例・戸惑うことが沢山あります。
そんな時にヒントを与え、先人の知恵を学べる参考書は本当に必須です。
良い獣医師になるためにも参考書は妥協せずに!!
では!!