皆さんこんにちは!最北端獣医師のノスケです!
僕は2020年に麻布大学の獣医学科を卒業して、現在は日本最北端の地で牛の獣医師をやっています。
そんな僕もかつては受験生で、進路に大いに迷っていました。最初から獣医学科一本で考えていたわけでもありません。
実は当時は「薬学部もいいなあ…。受験科目も似ているし、併願してみよっかな。」
なーんて考えていました。
そんなみなさんも獣医学科合格に向けて勉強していることと思いますが、多くの人が併願を考えているでしょう。
素の併願先として、例えば私立の獣医学科であったり、他の動物系の学科だったりもするでしょう。
また、そこでよく挙げられるのが薬学部です。確かに同じ理系で、受験科目も似たような薬学部を併願にする人も多いでしょう。
しかし獣医学科と薬学部は全然違うものであり、将来の進路も全然違うものです。せっかく獣医学科に興味を持ったのですから、本当に併願してもいいのか、薬学部に入学しても後悔はないのかをしっかり考えましょう。
今回は様々な観点から獣医学部と薬学部を比較してみました。では見ていきましょう!!
獣医学科と薬学科の違い!!
偏差値
獣医学科
国立大学 センターボーダー 80~89%
偏差値(河合塾) 62.5~67.5
私立大学 センター利用試験ボーダー 80~88%
偏差値 62.5~65.0
薬学科
国立大学 センターボーダー 79~86%
偏差値(河合塾) 57.5~67.5
私立大学 センター利用試験ボーダー 40~86%
獣医学科は特徴として、大学の数、そして定員が少ないという特徴があります。
そしてなによりどの大学も難易度に大して差がないというのが最大の特徴です。そのため受かりやすい大学というものが存在しません。
基本的にどの大学も難関であり、毎年偏差値のランキングは変動します。国立大学と私立大学では難易度は確かに違いますが、それぞれのくくりの中では、偏差値に大差はないのです。
逆に薬学科は大学の数が多く、また定員も多くなっています。そのため上と下での偏差値の差が著しくなっています。
6年制で将来薬剤師になる薬学科に入学するだけなら、比較的簡単に入れます。
しかし当然偏差値が高い大学は国家試験合格率は高いですが、偏差値の低い大学は国家試験合格率も低くなっています。
定員
獣医学科
1000人程度
薬学科
11500人程度
見てもらえばわかりますが、獣医学科は薬学科に比べて圧倒的に定員が少ないです。
大学の数が少ないこともあり、私立大学における倍率は、どの大学でも10倍前後となっています。国立大学でも最低5倍以上はあります。
それに比べ薬学科では定員が獣医学科の10倍以上あります。そのため大学間で倍率はかなり異なります。私立大学では3割の大学で定員割れを起こしているそうです。
学費(6年間)
獣医学科
国公立大学 一律3,496,800円
私立大学約1300万~1500万円
薬学科
国公立大学 約350万円(公立大学で若干安い)
私立大学 約920~1400万円
獣医学科と薬学科は授業料に大して差がありません。私立大学の安いところはだいぶ差がありますが、おおむね同じと言えるでしょう。
にしても、私立大学は学費がとても高いですね…。
僕も麻布大学の獣医学科でしたが、学費面に関しては本当に親に迷惑をかけたなあと思います。
この学費面はとても重要なトピックですので、しっかり親御さんと話し合うことが必要だなって思います!
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国家試験合格率
獣医学科(2016年度)
全体(新卒) 合格者/受験者 899人/1028人 合格率87.5%
大学別合格率の幅 80.6%~92.5%
薬学科(2016年度)
全体(新卒) 合格者/受験者 7108人/8242人 合格率86.2%
大学別合格率の幅 43.0%~100.0%
獣医学科と薬学科、新卒の合格率だけ見ればほとんど差はないように見えます。
しかし薬学科は受験の出願者と受験者の数が2000人ほど異なっています。
つまり色々な大学において卒業試験などで、国試を受ける人のフィルタリングを行っているということです。実際の数字は10%以上低いと思ったほうがいいでしょう。
また獣医学科では大学間で国家試験の合格率に大して差はありませんが、薬学科は大きな差が生まれています。
つまり獣医学科の滑り止めと言って、あまり調べずに受験しそこへ進学した時に、薬剤師になれない可能性があるということです。
ですので、最終目標である国家試験の合格率はしっかり見て、受験するのか判断しましょう。
職域と年収
獣医師の職域は小動物(犬や猫)臨床、産業動物臨床(牛や馬、豚)、公務員(家畜防疫員、食肉検査員など)、製薬会社(新薬の臨床実験)など多岐にわたります。動物を治すだけでなく、動物を通じて人のために働くこともあります。
薬剤師は調剤薬局、ドラッグストアで薬の指導や管理などを行ったり、製薬会社で治験コーディネーター、臨床開発モニター、薬剤開発などを行います。製薬会社では獣医師と連携して仕事をすることもあると思います。
当然ではありますが薬に関連した職種です。
平均年収は獣医師で637万円、薬剤師で532万円となっています。薬剤師は給料が高いことで有名ですが意外と獣医師のほうが平均は高くなっています。
しかし獣医師は開業などをする人も多く、稼いでいる人は圧倒的に稼いでいます。そのため平均値が跳ね上がっている可能性があります。
平均値は高いですが、必ずしも中央値が薬剤師より高いかは確証はありません。
しかし薬剤師は基本的に雇われて働いているので、どの職域でも安定して高い給料をもらうことが出来ます。そのため全体として給料が高いと考えられます。
年収に関してはグレーな部分があり、獣医師が必ずしも薬剤師より年収が高いかというとそうではありません。場所や職種によっては薬剤師のほうが高いことは確実です。
最後に
受験においては獣医学科と薬学科は似ています。同じ6年制ですし、生き物相手という点でも似ています。
しかし勉強する内容や将来の仕事などはかなり違うのです。そのため安易の獣医学科の滑り止めに薬学科を受けるのはあまりお勧めしません。
どちらもしっかり調べたうえで、どの道に進んでも後悔がないのであれば受けましょう。しかし獣医学科に興味を持ち受ける人が、薬剤師の仕事でもいいということはあまりないと思います。
獣医師を志すのであれば、獣医学科のみを受けることを考えたほうがいいです。たしかに大学間の難易度の差は大してなく、どこも難関ですが受かりやすくするためのコツや、その中でも受かりやすい大学はあります。
ですので併願としての薬学部の勉強をするくらいなら、獣医学科の合格を勝ち取るために努力をしましょう。
そして薬剤師になりたいのなら薬学科のみを受けましょう。
受験科目のみで似ている判断するのは危険です。
絶対に後悔のない進路を歩むためにもいろいろと調べ、情報を蓄積させていきましょう。
似て非なるものです!
そこを心得てください!
獣医学科を志すなら、獣医学科のみ、薬学科を志すなら薬学科のみ、それを忘れないでください!!!
では!